18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/12(土) 01:44:31.10 ID:F856af2G0
一夏は、ゆっくりとベットから立ち上がった。箒は何事かとそちらを見たが、一夏はそのまま窓の方へと歩いていった 。そして窓辺で足を止め、窓外に視線をやった。外に広がるのはほとんどが海だ。だが一夏が本当に海を見ているのか、それは箒には分からない。もしかすると、もっと遠くの、果てを見ているんじゃないのか、そんな風にも思えた。
箒には分からなかった。今の一夏に、過去に何があったのか、どうしてこうなってしまったのか。自分は何か、何かとても大切なことを自分は忘れている、そんな気がした。そして自分は悲しいのか、虚しいのか、それとも混乱しているのか、そんなことも分からないような気持ちになっていた。言い様のない喪失感に、じわじわと心を蝕まれていく。それは彼女の中で、ゆっくりと凍りついていったものが、残っていたわずかな灯で溶かされ始めたからだった。
そして、何処かを見つめている一夏の背中を見て思った。そのわけを考えても分かりはしない、今はそう割り切るしかなかった。
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