181:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/08(日) 00:34:06.37 ID:uj9ooahQ0
鈴は、近くにあったベンチに腰掛け、ため息をついた。
「………あんたは何で………そういられるのよ」
手に持ったスポーツドリンクを放り投げ、そのまま寝転んだ。
本来ならば、疲れて帰ってくるであろう一夏にスポーツドリンクを渡して、適当に雑談でもしようかと思っていた。だが、帰ってくるのを待つ内に思い出したかのように、一夏に会うのが怖くなってきた。だから、とっさにロッカーの中に隠れて、箒に発見された。
決して自分はそんな事をしにきたのではない。けれど、そうしてしまった。
あの女、箒の心遣いが少しだけの救いだった。自分とは別の決断を下した、もう一人の幼馴染。
「情けない……結局こうじゃない………」
天井を見上げ、片腕で両目を覆った。
その声は、震えていた。
記憶喪失。その一言で、一夏の変わり様を済ませられない。まるで、自分の全く知らない何かになってしまったかのような理由を、それで済ませられそうになかった。そんな理由では納得がいかない。
鈴は、しばらく起き上がろうという気になれなかった。
目の前に用意された現実を直視するには、今しばらくの時間が必要だった。
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