91:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/10(日) 23:02:00.59 ID:GkrSYZZD0
「でも、逃げずに来た事だけは褒めて差し上げますわ」
セシリアは鼻を鳴らし、踏ん反り返る。
「最後のチャンスを上げますわ。もちろん、降参するチャンスを、ですわ」
「まあ、このままいけば私が一方的な勝利を得るのは自明の理。ですから、このオーディエンス達の前で惨めな姿を晒すよりも」
「今、ここで。私に対する数々の非礼を謝罪する、というのなら。全部水に流してあげてもよくってよ?」
それは、目の前の相手に話し掛けている、というりよりも、ただ一方的に喋っているだけだった。当然、相手からの応答はなかった。
一夏の視線は、セシリアの方を向いてはいたが、もはや見ていないのと変わりはなかった。彼は、ここにそんな事を聞きに来たのではない。
「どうやら答えるつもりはない、というつもりで……よろしいですわ」
セシリアは左手を肩の高さまで上げ、真横に腕を突き出した。そこから一瞬爆発的に光った左手には、二メートルを超える長大な狙撃銃、六七口径特殊レーザーライフル スターライトmkIIIが現れた。
「ならば、その体に存分に御教えして差し上げますわ。女の強さ、というものを」
展開されたスターライトmkIIIにはすでにマガジンが接続されていて、セーフティーも解除されている。一秒と掛からずに展開し、射撃可能まで完了していた。
セシリアはその長い砲身をゆっくりと一夏へと突き出し、目を笑みに細める。
『敵IS操縦者の左目が射撃モードに移行』
ハイパーセンサーが捉えた情報が一夏の目の前に表示される。
アリーナ・ステージの直径は二百メートル。発射から到達までの予測時間は1秒とかからない。
「覚悟はよろしくて?」
『敵ISが射撃体勢に移行 トリガー確認 初弾エネルギー装填』
スターライトmkの銃口が光を発した。発射されたレーザーが蒼白い閃光となって、一瞬の内に一夏の顔のすぐ側を通り過ぎた。それが後ろに着弾して、地面がくぼみ、砂ぼこりが上がる。それは、威嚇であると同時に、自分の敵意と戦意を誇示するための行動だった。
ただ、それだけだった。
「あら、外してしまいましたわ」
セシリアはスコープを覗くのを止め、ニッコリと笑った。
状況は、彼女の方が完全に有利だった。セシリアは銃を手に持っていて、いつでも撃てるように構えている。それに対して一夏は銃を握ってもおらず、何もしようとしないまま両手は自然に降ろしたままである。
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