25: ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2013/10/14(月) 20:40:14.76 ID:ZqZKzP3U0
しばらくして目を覚ますと、辺りは暗くサクラの家には明かりが灯っていた。誰も俺が倒れていることに気がつかなかったらしい。
頭痛が収まらない頭を抱えて、何とか体を起こし地面に座り込んだ。
ゆっくりと記憶を辿っている内に、ふと疑問に思った。
任務でさえこんなことにはならなかったのに、なぜ俺はここまで恐怖を感じなければいけないのだろう。
間髪入れず、自分でも驚くほどの膨大な殺意が沸き上がった。
今すぐにでも喉をズタズタに切り裂いてやりたい。
いや、目ん玉抉って口に捩じ込んで顎から脳天へ串刺しにして頭蓋骨カチ割って腐った脳味噌引きずり出して心臓を握り潰してやろうか。
考えただけで吐き気がするが、目の前でサクラに性的暴行を振るえばあの男を自殺に追い込めるだろうか。
こんなことを素面で思えるほど、俺は狂ってしまった。
今までトラウマと対峙してこなかった代償だ。
だが、今さら悔やんでも遅い。あの男をどうやって生き地獄に叩き込むか、俺の頭にはそれしか無いはずだった。
しかし、次々と浮かぶ残酷なイメージを必死に引き剥がそうとする俺は確実に居た。
右足のホルダーに伸びる手を、なんとしても止めなければならない。
子供は大人の感情に敏感な生き物だ。サクラが妙に生意気なのも、俺の態度によるものだったのかもしれない。
引き金を引いたのはサクラの落書きではなく、全て自分の責任なのだろう。
自分の未熟さを自覚し、試験官を断ってさえいればこんなことにはならなかった。
はたから見れば、忍者がただ座り込んでいるようにしか見えなかったかもしれない。
衝動と理性で板挟みになり、泥沼にどっぷりと浸かってしまった俺は、そこから一歩も動くことが出来なかった。
そして、結局俺はいつもしてきたように現実逃避の道を選ぶ。
この出来事は俺の許容範囲を遥かに越えていた。
何度も葛藤し悩み抜いた頭は休息を求め、再び睡魔を誘う。
また倒れてしまう前に、ぐらつく体を引きずって全てから逃げるように自宅を目指した。
もう、復讐なんてどうでも良くなってしまった。
俺は心底疲れていた。
早く眠りについて、何もかも忘れてしまいたかった。
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