過去ログ - 美琴「お兄ちゃん!」一方通行「おォ、美琴かァ」
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15:鬼桜 ◆aVMyA5iujQ[saga]
2013/10/14(月) 19:59:41.40 ID:sCmP6thZ0


 †††


 胸元に飛び込んできた、黒こげ黒子をしっかりと抱き留めながらも、美琴は嘆息した。

 周囲の視線が集まっていたように感じたが、いざ周りを見渡してみれば、みな素知らぬふりをしていた。
 自分たちが巻き込まれる事を危惧したのかもしれない。

 ある意味、その行動は正解だっただろう。

 ここ、学園都市ではこのような事態は日常茶飯事と言えるだろう。

 いつ自分が被害者になるかなど、わかったものではないのだ。
 危険に自ら飛び込む馬鹿など、いないとは言わないが少数だろう。

 少なくとも、美琴はそういった人間をすぐに思い浮かべようとしても、「三人」しか思い当たらない。
 そのうちの一人は、他ならぬ、目の前に倒れ伏す少女なのだが。

 美琴は溜め息を吐くと、抱き留めていた黒子を自分の横に寝かせ、それから、テーブルの上に置かれていたティーカップに手を伸ばす。

 中に注がれた黒色の液体に映る自分の顔を見つめる。
 そこに映る自分の姿は、多少の陰りを帯びているようにもみえた。

 このままでは、物思いに耽ってしまいそうで、美琴は気持ちを切り替えるとカップの中の液体を口に含む。

 口の中に広がるその味に美琴は、


「苦ぁ……」


 顔をしかめながら、呟いた。

 カップをソーサに戻し、添えられていたコーヒーミルクとスティックシュガーを入れて、スプーンでかき混ぜる。
 そうしてから、もう一度コーヒーを口に含んだ。

 ホッとするような甘みが口内に広がり、美琴は思わず息を吐く。

 それはコーヒーの甘さから来るホッとした気持ちだったのか、それともただの溜め息だったのか、美琴自身には判断できない。


「やっぱ私に、ブラックコーヒーはまだ早いわね」


 多少の寂寥感を含んだ呟きは、誰にも届く事なく、虚空に消えた。


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