過去ログ - 美琴「お兄ちゃん!」一方通行「おォ、美琴かァ」
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170:鬼桜 ◆aVMyA5iujQ[saga sage]
2013/10/14(月) 23:38:56.32 ID:sCmP6thZ0



「やったかっ!」


 確信に満ちた物言いだった。
 しかし、その予想は裏切られる。

 火球はどうなった?

 地面を破砕した。

 そう、肝心の黒子に当たっていない。
 周囲を見渡す男の姿が、滑稽だった。


「お生憎様、自分の手の内を最初から晒す輩に遅れを取る程、愚かでも未熟でもありませんわ」


 男の足下から発信されたその声は、おそらく、男にとって絶望的なものに聞こえただろう。
 黒子は既に男の懐に姿勢を低くして潜り込んでいた。

 ぎょっとして男が黒子を見下ろした瞬間に、もう一度能力を発動する。

 男の頭上よりも尚高い位置に瞬間移動(テレポート)すると、勢いそのままに男へとドロップキックをお見舞いする。

 たまらず前のめりになって転倒した男の横に難なく着地すると、太ももに取り付けているホルスタへと触れる。

 その動作によって、ホルスタに取り付けられていた鉄針が転移し、男の衣服を地面へと縫い付けた。


「て、瞬間移動能力者(テレポーター)っ!?」


 男が驚愕した様子で黒子を見上げていたがそれに構う事無く、告げる。


「もしもまだ抵抗を続けるというのなら、今度は鉄針(これ)をあなたの体内に瞬間移動(テレポート)させますわよ?」


 言葉の意味を正しく理解したのだろう。
 男はごくりと生唾を飲み込むと、地面へと顔を伏せるとともに、抵抗を諦めた。


「さて、後は――」


 先程、店内へと引き返していた、ひ弱そうな男が残っている。
 いくら男がひ弱そうに見えたからといって、見た目で油断するわけにはいかない。

 早急に追う必要がある。
 黒子は銀行の入り口――壊れた自動ドアへと向かって駆け出し、


「そこまでだっ!」


 それよりも早く、銀行の中から男が姿を現した。
 そして、その男が抱き寄せるようにしている人物に、黒子は自分の血の気が引いたのを感じた。


「妙な動きをしたら、この風紀委員がただじゃあ済まないぞ」


「う、初春っ!」


 そこには、首元にナイフを突きつけられた、自分の同僚がいた。


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