過去ログ - 美琴「お兄ちゃん!」一方通行「おォ、美琴かァ」
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177:鬼桜 ◆aVMyA5iujQ[saga sage]
2013/10/15(火) 02:01:28.68 ID:3W4IP3K90


†††


 車が猛スピードで自分に向かって直進してくる。
 美琴はそれを理解し、同時に憤慨した。

 どこまでも、下劣な男達だ。

 銀行強盗だけでは飽き足らず、人質を取り、最後には殺人まで犯そうとしているような愚行。
 込み上げる怒りに抗う事は出来なかったし、そもそもするつもりがなかった。

 自らの意志に呼応するように、美琴の周囲に紫電が走る。
 体表を覆うのは、静電気というには生温い、火花を散らす電撃。


「悪いわね黒子、もしも始末書沙汰になったら、私も手伝うからさ」


 怒りに沸騰してはいるものの、理性は多少残っている。

 恐怖や緊張はない。


「あー」

 項垂れながら、黒子が呟く。もう、それ以外に言葉を発せないのかもしれない。
 過去の経験から、こうなってしまっては、何を言っても無駄だということがわかっているからだろう。

 もうなるようになってしまえ、と匙を投げているように見えた。

 そうなってしまうのも、仕方ないのだろう。
 黒子は曲がりなりにもレベル4の空間移動(テレポーター)だ。

 しかし、美琴はその更に上。
 学園都市に七人しかいない、レベル5の第三位。

 美琴が本気であるならば、黒子に止められるだけの力がない。
 それを理解するからこそ、状況に身を任せることにしたのだろう。

 そんなやりとりをしていた中で、黒子の足下――地面に縫い付けられていた男が、唐突に何かに気付いたように顔を強ばらせる。


「お、思い出した、風紀委員には捕まったが最後、心も体も再起不能にする、最悪の腹黒空間移動能力者がいて――」


 こめかみに青筋を浮かべながら、「誰のことですの?」と訊いている黒子の姿をよそに、美琴は乗用車と対峙する。
 体の周囲を紫電が飛び交う。

 乗用車はもう、すぐそこまで迫り来ていた。


「その瞬間移動能力者を虜にする最強の電撃使い(エレクトロマスター)が……ま、まさか――」


 美琴はセータのポケットへ無造作に手を突っ込み、一枚のコインを取り出す。
 親指、人差し指以外の三指を握り込み、人差し指で親指の先を包み込むと、親指の上にコインを置いた。

 親指を弾き、コインを中空へと誘う。
 そして――


「そう、あの方こそが学園都市230万人の頂点、学園都市に7人しかいないレベル5の第3位。超電磁砲、御坂美琴お姉様。常盤台の電撃姫にして、女生徒最強の能力者ですの」


「あ……」


 何かに気付いた美琴が小さな呟きを漏らした。


 中空を舞っていたコインが、美琴の指にぶつかり、足下≠ヨとこぼれ落ちていった。


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