過去ログ - 美琴「お兄ちゃん!」一方通行「おォ、美琴かァ」
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179:鬼桜 ◆aVMyA5iujQ[saga sage]
2013/10/15(火) 02:06:42.88 ID:3W4IP3K90


 コインは美琴の右手に軽く触れると、軌道を変えて足下≠ノ落下していく。


 美琴の視線は、一点に集中していた。

 自分に迫り来る――それこそ、もう追突間近の乗用車の、その後ろ。


「お姉様!」


 黒子が声を挙げている。
 おそらく、黒子が思い描いた展開と異なっていたのだろう。

 美琴自身、予想外だった。
 まさか自分が超電磁砲(レールガン)≠放つ事を取りやめるなど。

 美琴の目の前に迫る乗用車。

 今更、ポケットからコインを取り出しても、足下から拾い上げても、間に合わない。

 その速度は美琴の命を絶つ事は容易いだろうと想像できた。
 もしかしたら、黒子は自分を救おうと演算を開始しているかもしれない。

 だが、それが間に合わない事を美琴は理解していた。


 何故なら――


「おいおい、三下以下のカスが、俺の妹になァにしようとしてやがンですかァ?」


 それよりも早く、美琴に救いの手が差し伸べられたから。


 美琴と乗用車を遮るように、目の前に、いつの間にか少年が立ち塞がっていた。
 最初に、視界に入ったのは真っ白な後頭部。視線を下に移すと、長点上機学園の制服に身を包んだ、痩身痩躯の体が確認できる。

 誰なのか、確認するまでもない。
 最初に聞こえた声が、更にそれよりも前に視認していた彼の姿が、鮮明に記憶され、彼の存在をはっきりと理解させたから。

 少年は、乗用車に向かって右腕を伸ばす。
 乗用車は速度を緩める事無く、むしろ速度を増して二人へと迫る。

 危機感は何も無い。
 あるのは安心感。それも、彼≠ェ自分の傍にいるからこその安らぎ。


 やがて、乗用車と少年との距離がゼロになり――


 ――――――ッ!


 大気が震えるような大音声が、周囲を包み込んだ。


 視線の先では、少年の手に触れた乗用車が、見えない圧力に屈したように、地面へと減り込んでいた=B





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