過去ログ - 美琴「お兄ちゃん!」一方通行「おォ、美琴かァ」
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24:鬼桜 ◆aVMyA5iujQ[saga]
2013/10/14(月) 20:03:21.03 ID:sCmP6thZ0


†††

 美琴が二杯目のコーヒーを飲み始めた頃、隣で寝ていた黒子が意識を取り戻した。

 思いの外、長時間目を覚まさなかったことを心配していただけに、ほっとする。次からは出力を気をつけなければいけないなと、ひそかに考えた。
 もっとも、そんな機会がないことが一番なのだが。

 今、自分が置かれている状況が理解できていないのか、黒子は体を預けていた長いすから体を起こした後も、ぼんやりとした視線をテーブルに向けている。今にも、もう一度意識を手放しそうだった。

 しかしそんな美琴の予想は覆される。

 突然、黒子は何かに気付いたのか、素早くスカートのポケットから携帯電話――小型で近未来的な形状のもの――を取り出した。
 ディスプレィを確認すると、顔色を変えて、飛び上がる。

 黒子の反応に美琴は首を傾げた。
 その間にも、黒子はそそくさと座席から立ち上がり、捲し立てる。


「このままでは遅刻ですの! お姉様、行きますわよ」


 言われて美琴は、自身の緑色の携帯電話――カエルのマスコットを模したもの――を取り出す。

 ディスプレィには、十二時四十五分と時刻が表示されている。
 約束の時間まで、あと十五分だった。

 黒子から言わせれば、悠長にファミレスでお茶を飲んでいる場合などではない、という事だろう。
 未だ座ったままの美琴の腕を取り、席を立つよう促す。


「ちょっと待ってよ、せめてこの一杯だけゆっくり飲ませてちょうだい」


 まだカップに半分程残っているホットコーヒー(割と甘め)を手に取ろうとする美琴に、黒子は頭を振る。


「いけませんわ、お姉様。このままでは約束の時間に間に合いませんの」


 確かに、約束の間に合わず、待たせてしまうのは申し訳ない。ましてや相手は初対面。尚のこと、遅れるのは忍びない。

 それはもちろん、美琴だって理解している。ましてや、寝起きの黒子よりも、状況は理解している。
 だが、慌てた様子の黒子に何を言っても、意味がないだろう。

 そう結論づけると、美琴はカップに入ったコーヒーを一息に飲み干しつつ、立ち上がった。


「お姉様、お行儀が悪いですの……」


 黒子の発言は聞こえなかったフリをする。
 二人は立ち上がると、会計を済ませ、ファミリィレストランを後にした。


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