12: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/10/18(金) 00:12:04.90 ID:BTrtdNaVo
少し騙された気分だった、と言ったら語弊があるだろう。これを詐術としてしまうなら、間違いなく騙された僕が悪い。
あの日は前の職場に辞表を提出した帰りで、鬱々とした気分だった。しかし、そのことを差し引いても、ろくすっぽ話も聞かず、その場で契約書にサインをするのはあまりにも軽率だった。
なので、そんな社会人としてあるまじき行為をした僕に全責任があるのは自明の理である。悪質なキャッチセールスだったら、今頃数百万の請求書が僕のもとにやってきているに違いない。
そんなことを思いながら、僕はいまだ新品同様にきれいな色スーツを着て、雑踏を歩く。
結局、あの日声を掛けられた中年男性が何者なのか、今でもよくわかっていない。聞いたことと言えば、新設予定の芸能事務所の社長である事と、その事務所の名前だ。
シンデレラガールズ・プロダクション、という名前の事務所だそうだが、生憎芸能に疎い僕には聞き覚えのない名前だった。
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