18: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/10/18(金) 00:15:59.07 ID:BTrtdNaVo
『いらっしゃらない?』
「ええ。西のほうへいってから北の方へ、アイドルとスタッフを捜してくると言い残して、カバン一つだけで行かれました。まあ、いつものことなんですが」
プロデューサーは、少し苦笑をしながら、そう言った。
やはり、騙されたのだろうか。あの契約書は、なにか危うい契約の契約書だったのではないだろうか。そう思った矢先だった。
「あなたが、Pさんですか?」
唐突に聞こえた、女性の声。そちらを向くと、緑色を基調にした、フォーマルともカジュアルともいえない、独特の服を着た女性が居た。
太く長い三つ編み髪を、横から胸のほうへたらした彼女は、ともすればこの事務所に所属するアイドルであると言われれば信じてしまうほど、綺麗な人だ。
「ちひろさん? まだ出社の日ではないはずでは」
「ええ、プロデューサーさん。ですが、社長から言伝を預かっていまして、今日は特別出勤なんですよ」
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