27: ◆vFrOP6Ejc.[saga]
2013/10/19(土) 18:39:58.16 ID:e1A6D2xD0
夕方、わたしは、あの自動販売機のある公園に向かった。
当分夢の中で会えなくなるであろうアイツに会えるかなあという期待が無かったと言うと、きっとウソになる。
「なかなか来ないわねぇ、夢の中だとすぐに来るのに」
別に約束したわけでもないし、そろそろ帰ろうかと思ったところだった。
アイツはやってきた。しかも、女の子二人と一緒に。
長い黒髪が印象的で色白の純日本風美人と、健康そうで顔立ちも整った、胸の大きな女の子だ。
「貴様、一端覧祭の準備を抜け出すとはどういうつもりだ」
「だから、特売のタイムセールから戻ってからちゃんとやると言ってるじゃないですか」
「上条くん。あなたは。一度出て行くと帰ってこない」
何か親しそうに話している。
何故か無性にイライラしてくる。
コイツが女の子と歩いていたってわたしには何の関係も無い。
仮に二人のうちどちらかがアイツの彼女だったとしても、別にかまわない。わたしの人生に何の関わりも無いことだ。
なのに何故か湧き上がってくるイライラ感を止められない。
アンタはわたしのことを好きなんでしょ?あんなに毎晩毎晩「好きだ」ってささやいて、それからゴニョゴニョするくせに。
(何で、こんなところで他の女と楽しそうに話してるのよ!)
長い黒髪の女の子は間違いなくアイツのことを好きだ。それはもう見てすぐわかる。
胸の大きい女の子はどうだろう?断定はできないが同じようアイツのことを好きかも知れない。いや、きっと好きだ。
(どうするつもりなのよ。アンタはわたしのことが好きなんでしょ?)
(その子達、いずれ悲しい思いをすることになるのよ?)
(そんな期待を持たせるよなことをしちゃだめでしょ。)
今から、前に出て行って、二人に「コイツが好きなのはこのわたしよ」と言ってやろうかと思った。
そのほうが二人のためにいいのではないか。現実を早く認識させてあげるべきではないのか。
それなのに、なぜだろう。
実際には、わたしは、三人に見つからないように、その場から逃げるように駆け出していた。
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