過去ログ - 安価でシークレットゲーム7
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272:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/11/20(水) 07:13:35.41 ID:ouFSgEcY0
「城ヶ崎くんって頭が良いと思ってたけど…そうでもないのかしら?
 どうして助けなかったかって…当たり前じゃない、これ、プログラムなんだもの。
 たとえ“友達”だとしても、今は敵じゃない?」

麗を小馬鹿にした物言いにむっとし、更に雪美の“友達”という言い方から感じた言葉には表せない奇妙な違和感を憶え、もみじは憤りと気味悪さに眉を顰めた。

「鷹城こそ、この俺様の言葉を忘れたか?
 俺は、プログラムなんて馬鹿げた真似、しないって言っただろ?
 お前らだって、ここにいないヤツらだって、敵なんかじゃねーよ」

ああ、麗さまはどこまでも自分を貫く人だなぁ…

プログラムには乗らない――目の前に人を殺めたばかりである上に一度は自分たちを襲ってきた相手に対してすら敵とは言わない麗の一貫性に、もみじはうっとりとしながらきゅうっと麗の腕により強くしがみついた。

麗だって同い年の男の子なのだから、心の奥では雪美への怒りは消えていないだろうし、一度は命を狙ってきた賢吾や季莉のことだって両手を広げて受け入れることなんてできないだろう、そんなことはわかっている。
池ノ坊奨(男子四番)の名前が放送で呼ばれた後、束の間だったが麗が見せたあの怒りと憎悪に満ちた姿は忘れない。
それでも、それらの負の感情を胸の内にしまい込み、一度決めたことを貫き周りの人を良い方向へ導こうとするその姿は、やはり人の上に立つべき者のものだ。

だからこそ、もみじは麗にとって絶対の存在なのだ。
異国の王子を思わせるその風貌。
人を惹き付けてやまないカリスマ性。
自分の気持ちを抑えて周りの者を大切にしてくれる優しさ。
ぶれることのない正義感。
麗の言うことは絶対で、麗の導く先は正義で、麗に付き従うことこそ正しくて、麗の役に立てることこそ至高の喜び。

うっとりとしていたもみじは、パンパン、という掌を打つ音で我に返った。
雪美が変わらぬ笑みを浮かべながら、拍手をしていた。

「ふふっ、さすが城ヶ崎くん、言うことが立派ね。
 …でも、それなら自分の取り巻きくらいはちゃんと調教してくれなくちゃ」

雪美はそう言うと、錬の傍に歩み寄り、その肩にそっと触れた。

「ねえ見て、松栄くんの怪我…痛そうでしょう?
 これ、誰にやられちゃったか…言ってあげて?」

錬は眼鏡の奥のおどおどした小さな瞳を泳がせ、様子を窺うように麗へと視線を定めたものの、すぐに視線を地面に落とし、小さく呟いた。

「真壁君と、高須さん…」

「「そんな…ッ!!」」

紗羅と健太が同時にが声を上げた。
これまでずっと探し続けていた瑠衣斗と撫子が、既に人を傷付けていただなんて――プログラム開始以降消息がわからなくなっていた仲間たちがクラスメイトを傷付けていたということに、もみじも一瞬呼吸ができなくなったかのような苦しさを憶えた。

雪美は笑顔を貼り付けたまま、続けた。


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