13: ◆6xwp19VYUg[sage saga]
2013/10/25(金) 00:43:59.08 ID:L6Vy60Ovo
――数年前
「司教をd四へ」
少年の、まだ変声期を迎えない声が宣言する。彼の細い指が、チェルス将棋の象牙の駒を動かした。
少年に相対するのは、若き枢機卿であるアレイスター。
「塔をd一へ。君は何故、チェルス将棋が好きなのかね」
男にしては長く優美で、性別を窺わせない指が、黒珊瑚の駒を動かす。
二人の年齢差を見れば、アレイスターが少年にチェルス将棋を教示しているように見えるだろう。
しかし状況は全くの逆だ。
少年――鈴科は、若干10歳で22歳以下が参加するチェルス将棋の世界大会を制している。
また、咒式士としても才を発揮し、既に“到達者”と呼ばれる十三階梯に至っている。
「兵士をg八へ。ここで、兵士が竜になります。
……考えたこともなかったですが。おそらく、縮小された世界の如き盤面を、解析し尽くすのが好きなのでしょう」
「成程。君にとって、盤上とは世界なのか。……どうやら、あと十三手で私の負けのようだ」
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