2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/25(金) 00:31:12.67 ID:L6Vy60Ovo
郵便受けに入っていた手紙の差出人を見た瞬間、上条当麻の顔は引きつった。
「才人工房……?」
語尾が疑問形だったのは、今見ている現実を直視したくないからだ。
才人工房、そう呼ばれる店は上条の記憶にある限りたった一つで、記憶が混濁していなければ、
最新鋭かつ最高値の咒式具の販売をしている店のはずだ。
そして、封筒に押されている『請求書在中』という文字。
嫌だ、見たくない。
しかし現実から目を背けても請求書は消滅してくれないので、十秒程の現実逃避の後、恐る恐る封を開ける。
目を細めて横目で見た請求書に印字されていた数字は――やっぱり見なければよかったと後悔するものだった。
鈴科式法珠の最新型が一つ、プラス魔杖剣への取り付け代金。
一月の稼ぎが軽く吹き飛ぶお値段である。
上条の体がわなわなと震える。
「……あの、クソ野郎……っ!」
絶対に文句を言ってやる。そう心に決めて、上条は事務所の扉を開けた。
――『上条当麻&垣根帝督咒式事務所』の扉を。
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