53: ◆6xwp19VYUg[sage saga]
2013/10/27(日) 21:57:14.58 ID:xnyh+LjWo
鈴科が食事を終えると、少女は再度鍵を開けて盆を受け取った。
「お粗末さまでしたー、ってミサカはミサカは謙遜してみたり」
「粗末って点は否定しねェぞ。……ごちそォさま」
最後の部分をぼそりと告げると、少女が満面の笑みを浮かべた。
太陽のような笑顔だ。ウルムンの砂漠の太陽とも違う、暖かさを持った。
「じゃあ、また明日ね、ってミサカはミサカは名残惜しさを覚えつつ立ち去ってみる」
盆を手に背を向ける少女。鈴科はしばらく逡巡した末、声をかけた。
「おい。オマエ、名前は。ミサカでいいのか?」
振り向いた少女は、もう一度笑ってこう言った。
ラストオーダー
「ミサカは〈打ち止め〉だよ、ってミサカはミサカは名乗ってみたり!」
「……どっちだよ」
ウルムンを訪問するにあたり、言語や、多少の風習を調べていたが、命名規則までは知らなかった。
故に、少女の名前が、自国の言葉でとても人名とは思えない意味を持っていたとしても、
この国では普通なのだろうと、軽く考えた。
何も知らなかったし、知ろうともしていなかった。
――この時は。
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