過去ログ - フィアンマ「助けてくれると嬉しいのだが」トール「あん?」
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162: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2013/11/21(木) 23:12:16.90 ID:b5OocTuo0

「……降参させてもらうのよな。しかしお前さん、強いな」
「ま、伊達に戦ってきてねえからな。……しかし」

ぐるり、とトールは視線を巡らせる。
女聖人らしき気配は感じられない。
が、どこからか注がれる視線のようなものは感じ取れる。
それが女聖人なのか、はたまたフィアンマの追っ手か、自分への復讐者かはわからない。
しかし、勝利してしまった以上長居する必要性はまったくもって感じられなかった。

「それじゃ、ここらでお暇させてもらうけど、良いよな?」
「文句はねえのよな。今宵は良い戦いだった」

建宮は頷き、トールと戦った相手は全員一礼する。
トールは自らの意思でブレードを消去すると、フィアンマを見やった。
視線が合い、知らず知らずの内に薄く笑みが浮かぶ。
彼が自覚している以上に、トールはフィアンマを好ましく感じている。
そしてそれはもちろん、フィアンマもまた同じく。



帰り道。
女聖人が現れなかったことを残念に思いながらも、トールは今宵積めた『経験値』に満足していた。
ああいった正々堂々とした敵は大好きだ。姑息な手や、弱い者いじめをする人間は好かない。

「……何かあったのかよ?」

と、達成感に浸りながらも、トールはフィアンマの様子の変化に気がついた。
直球な問いかけに、フィアンマは曖昧な笑みを浮かべ。

「何かあった、という訳ではないのだが」
「……」
「…ま、少し思い出しただけだよ。仕事の関係で」

嘘ではないし、真実でもなかった。
彼女は息をするように誤魔化し、トールの手を握る。
先程まで戦闘にのみ使われていた手で最大限優しく握り返し、トールは言葉に悩み。
結局良い台詞なんて浮かばなくて、彼女に歩調を合わせてやるのが精一杯だった。


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