過去ログ - フィアンマ「助けてくれると嬉しいのだが」トール「あん?」
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[saga]
2013/12/08(日) 23:26:13.98 ID:kna01/qC0
フィアンマがトールに供した紅茶。
その中に溶かされていたのは、砂糖―――ではなく、遅効性の睡眠薬だった。
気づかれなかったようだ。いいや、警戒していなかったのだろう。
警戒しないでいてくれたのだ。それはとても嬉しいことで、それを利用してしまった自分が恨めしい。
「……」
フィアンマはのろのろと起き上がり、タオル等を片付ける。
だるい体に喝をいれ、トールをベッドへ横たわらせる。
そっと毛布をかけてやり、ふらふらと立ち上がった。
「………」
ドアへ向かう。
開ける直前、そのままずるずるとへたりこんだ。
床に座り込んだまま、フィアンマは携帯電話を弄る。
電話をかけたのは、自分が心から嫌いだと感じる、とある少年だ。
「……もしもし」
『ん…あ、もしもし。何かあったのか?』
上条の声はのんきだった。
フィアンマは小さく笑って、ドアに軽く寄りかかる。
「少し、迷っていることがあってな」
『迷ってる?』
「……俺様とお前は同じような人間だ。
体質の特異性という一点において」
『………ま、そうだな』
フィアンマと上条には、同じ悩みがある。
自分の体質<みぎて>が、人を不幸に巻き込むこと、だ。
「大切なものがあるんだ。
それを保管している環境を整えるには、大切なものを手放す必要がある」
『…何か難しいな。宝石か何かの話か?』
「…そう、だな。そういうことにしておいてくれ」
『……俺なら、手放すかな』
上条は静かに言って、卑屈に低く笑った。
フィアンマと同じ、"諦めた"者の笑みだった。
『俺が大事にしようとしても、巡り巡って壊れるだろうしさ。
それなら、その宝石がいつまでも傷つかないような環境にするために、必死になると思う』
「………そうか」
ありがとう。
それだけ言うと、フィアンマは立ち上がる。
諸々、やるべきことを済ませ、トールに近寄った。
何も知らぬ少年は、静かに眠り続けている。
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