過去ログ - フィアンマ「助けてくれると嬉しいのだが」トール「あん?」
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255: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2013/12/09(月) 22:05:07.87 ID:h0Jw89pJ0

『親愛なる雷神様

 恋人ごっこは今日で終わりです。
 置いてある紙幣は、今まで使ってもらった金額を計算して用意しました。
 財布を無くしたというのは、嘘でした。あくまでも、一緒に居る為のきっかけ作りに過ぎません。
 沢山沢山嘘をついてきました。お詫びを申し上げます。ごめんなさい。
 これ以降、きっと関わることはないでしょう。むしろ、そう願うところです。
 

  さよなら。
 


                                あなたをすきだったことは、本当です』


「……何だそりゃ」

トールは、笑った。
うまく、現実を把握出来なかった。
便箋をテーブルへと置き、カレンダーを見やる。

「なあ、エイプリルフールにしちゃ遅すぎるだろ」

四月とはいえ、一日などとうに過ぎている。
トールは手を伸ばし、クローゼットや、シャワールームのドアを開けた。
どこにも、誰も居ない。求めている人影すら、見当たらない。
当然のことだった。冗談でも何でもなく、彼女は出て行ったからだ。

「何だよ、俺の知らない術式でも使って隠れてやがるのか? 
 十字教の隠蔽術式なんか全然わかんねえよ。ギブアップだ、だからさ、」

どうかそうであって欲しい、という思いが独り言となって漏れ出した。
彼の性格上滅多にしない敗北宣言までして、彼は必死に願っていた。
冗談であることを。幻想であることを。現実ではないことを。

「フィアンマ――――」



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