過去ログ - フィアンマ「助けてくれると嬉しいのだが」トール「あん?」
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291: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2013/12/15(日) 23:20:11.27 ID:ZFZ6L+UT0

不思議と涙が出なかったのは、どこかで理解していたからかもしれない。
何の犠牲も無しに、物事の進歩などありえない。
時間、人員、労力、時には命を犠牲にするから、何かが進化する。

「後戻りは出来ない」

自分に言い聞かせるように呟いて、彼女は本のページをめくった。
幼い頃、テッラに読んで欲しいと強請ったことのあるものだった。
内容はお世辞にも子供向けとは言えそうにないものだが。

「……後戻りは、」

桐の箱に収まる死体。
病院で今も眠り続ける女性。

自分の指示の結果、一時的、あるいは永遠に眠った同僚。
自分が殺したも同然だ、と思う。
苦楽を共にしたくせに。いや、それを知るのは自分だけなのだが。

「………、ル」

彼に会いたかった。
しがみついて、思うがままに泣き喚いて、困ったように笑いかけて欲しかった。
その機会を捨てたのは自分であると、痛い程理解しているのに。
結局、自分は身勝手なのだ。多くをとろうとして、犠牲を生む。

本を閉じる。

アックアもきっと、倒されるだろう。
アウェイ戦で良い結果を期待する方が間違っている。


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