過去ログ - フィアンマ「助けてくれると嬉しいのだが」トール「あん?」
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367: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2014/01/05(日) 15:42:00.65 ID:gRzkvjwz0

そうしてトールはやがて、『グレムリン』本拠地へと戻って来た。
先に戻っていたらしいウートガルザロキが、彼の方を見やる。

「ずいぶんお早いお帰りじゃねえか。見つかったのかー?」

気楽な声。
軽薄そうな青年は立ち上がり、トールの表情を窺おうとして。
少年の持っているものに、思わず後ずさった。

「……、…」

あれ腕じゃね? つーか腕だろガチリアルグロなんですけど。

そんなこと思いながら後ずさる青年に対し。
トールはうっすらと笑みを浮かべ、虚ろな瞳でこう申し出た。
口調やトーンが妙に平たいことが、聞く者の恐怖を誘う。

「なあ、氷とかクーラーボックスとか、ないか?
 このままじゃほら、腐っちまうかもしれねえだろ」
「………あ、ああー、クーラーボックスね! ちょい待ち」

逃げ出すようにウートガルザロキはそう答え、ひとまず奥へ引っ込む。
トールは少女らしい細腕を抱きしめたまま、椅子へ腰掛けた。

「………腐ったら、くっつけてやれねえもんな…?」

ぽつりと呟いて、手の甲へ口付ける。
まだ雪にまみれて凍ったままの腕は、死人のそれと同じように冷たかった。


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