過去ログ - フィアンマ「助けてくれると嬉しいのだが」トール「あん?」
1- 20
5: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2013/10/27(日) 16:17:11.24 ID:GfZ+gmO70

そして、俺の攻撃が届くまでもなかった。
相手が行ったのはただ一度、右手を振っただけ。
それも、虫を払うかの様な、平凡な動き。

それだけだった。

しかし、俺の身体は吹き飛ばされ、身体全体には重いダメージが残った。
恐らく『俺に合わせて』、敵の持つあの赤い腕が効果を発揮したんだろう。

『が、っ……』
『……つまらんな』

せっかく応じてやったのに、とばかりの声。
金色の瞳は酷く冷えていて、笑みは氷の彫刻のようだった。
俺はのろのろと手を伸ばし、霊装を消費してダメージを癒す。
周囲に被害は出ていない。ただ、俺だけを確実に倒してくれる『敵』。
どこまで強くなればあの腕に倒されないのか、勝てるのか、それを考えると笑みが浮かんだ。

『は、ナメやがって…ッッ!』

楽しい。
未だかつて、こんなにも楽しい戦いはあっただろうか。
何度も攻撃に立ち向かう度、容赦なく腕が振るわれる。
霊装を消費しても癒しきれないダメージが、徐々に体に蓄積してきた頃。

『おや、……時間切れか』

相手の『腕』が、空中分解を起こした。
俺の中の熱も急速に褪め、色あせていく。

『興ざめだな』
『すまないな。いかんせん不完全なんだよ』

やれやれ、と男は肩を竦め、俺に背を向けた。

『次は、もっと強くなってから出直してくるんだな』
『そうするよ』

また戦いたい、と思った。
あんなに最適な相手とは二度と出会えないだろう、と思った。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/658.71 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice