過去ログ - フィアンマ「助けてくれると嬉しいのだが」トール「あん?」
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535: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2014/01/29(水) 00:24:51.68 ID:iydartIF0

『ここまでされても』

少女の声だった。
彼女は憐れむように笑っている。

『あの女が恋しいのか。
 裏切られ、凄惨な目に遭わされて。
 私に屈服し、あの女を忘れれば、もう二度とこんな目には遭わないというのに』
『それでも』

ほとんど崩壊しかかった精神を、取り戻す。
絶対に折れたくない、という気持ちが燻っている。

『俺は、アイツを忘れたくない』
『言ったんだ。俺だけは、アイツに生きて欲しいと思うって』
『口だけじゃダメだろ。行動で示さなきゃならねえ』
『―――たとえ、どれだけ底抜けに世界が滅茶苦茶になっていったとしても』
『俺は、何があったって、アイツに笑って、傍にいて欲しい。
 俺が好きになったアイツには、その権利があると思うから』
『どんな地獄を味わっても、どんな天国を味わっても』
『やっぱり、フィアンマが居る場所が俺の楽園なんだと思うから』

手が届いたんだ。
親に取ってもらわなくたって、大切なものに自分の手が届いた。
もう、端から端までどの世界を探したって、彼女は存在しないのだとしても。
自分は、覚えている。心が壊れたって、絶対に忘れない。

『もう既に何万と世界で潰されたにも関わらず、まだ折れないか』
『折れねえよ。俺が折れたら、誰がアイツを迎えに行ってやるんだ』

わがままなオヒメサマを。

獰猛に笑う少年に、神はため息をついた。


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