過去ログ - フィアンマ「助けてくれると嬉しいのだが」トール「あん?」
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◆2/3UkhVg4u1D
[saga]
2014/02/09(日) 21:16:58.68 ID:Fh6Ym+dV0
内側から毛布を握る指が青白む程、力が入る。
トールは彼女の寝たフリを見破っているのかいないのか、静かに言葉を紡いだ。
「長かったな」
「お前が出て行って、俺が追いかけ始めてから」
「最初は敵として、お前に飯を奢った。死なれたら戦えないしな」
「お前と暮らすようになって、印象が変わった」
枕元から手元へ引きずり込み、ループタイを抱きしめる。
そうでもしなければ、全身が震えてしまいそうだった。
「お前が幻想殺しと仲良く喋ってる時、イラついた」
「その時は、理由がわからなかった。適当に理由付けして、自分を誤魔化した」
「それからちょっとして、お前が恋人ごっこを持ちかけてきた」
「正直意味がわからなかったし、お前の言葉の意味も理解出来なかった」
「お前が出ていって、初めて意味がわかった」
「あれからずっと捜して追いかけて、何度か追いついて、その度にお前は何処かに行って」
「いつまでたっても、俺の目の届く範囲には居ようとしねえ。挙句の果てには世界そのものから消えて」
「お前を忘れようとしなかった俺は、オティヌスの野郎に拷問にかけられた。
地獄を繰り返して、結局俺は勝てず仕舞いだ。レベルアップしていく感覚は良かったが、もう二度と味わいたくねえ」
瞼を強く、きつく、閉じる。
何を言わんとしているのか、予想しないよう努めた。
「――――俺はもう二度と、お前の恋人ごっこなんかには付き合わないと決めた」
ぎゅう、と。
心臓を握りつぶされるかのような苦しみに、フィアンマは唇を噛んだ。
「オッレルスの野郎から聞いた情報だが、お前の性質は変容した。
洋菓子しか口に出来ない制約はなくなった…代わりに、『聖なる右』は行使出来ない。
……俺にとってお前はもう、戦い甲斐のある素晴らしい敵でもない。二度と戦うことはない」
首吊りすべく立っている足場を、少しずつズラされていくような感覚。
反論しようとは思わない。全て事実だ。
「敵でもないし、ごっこ遊び相手でもない。
俺は、お前と本当の恋人になりたいと思ってる。
敵になれないなら、一生涯、味方になるしかねえよな?」
ずっとずっと、気が遠くなる程長い間、そう思っていた―――と。
彼はそう告げて、彼女の髪を撫でた。
「もう逃がさねえぞ」
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