過去ログ - フィアンマ「助けてくれると嬉しいのだが」トール「あん?」
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591: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2014/02/13(木) 22:35:16.17 ID:F9bpAotw0

そしてトールは、自分が覚えている限りの地獄を語った。
味わってきた地獄の種類は幾万にも及ぶ。
地獄の合間には時折、楽園のようなものもあった。

フィアンマが存在しない、人類皆が幸せな世界。
トールの存在しない、フィアンマが幸福な世界。

そんなものもあった。
どちらかというと、そちらの方が地獄よりも辛かった。

自分ではない誰かと。
自分以上の出会い方をして。
自分よりもその相手を愛して。

そうして幸せになっていくフィアンマを見ることが何よりの苦痛だった。
少なくとも、トールという一人の男にとっては。

嫉妬、という単語では足りない。
絶望に近い。

「お前のことを口にする度に狂人扱いされる世界もあったっけな」

哀れまれる苦痛というものもあった。

「だが、それは逆に言えば俺しかお前を繋ぎ止めるものがないという事実の裏返しでもあった」

諦める訳にはいかなかったのだ、とトールは笑む。
あれだけの思いをしてまだ笑うことの出来る自分に、安堵する。


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