過去ログ - フィアンマ「助けてくれると嬉しいのだが」トール「あん?」
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860: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2014/04/13(日) 00:29:28.86 ID:QaAtKMoF0

華奢な手が、指輪を取った。
はめる指に少し迷って、動きが止まる。
そうして迷いなく、左手の薬指にはめた。
トールの見立ては間違いなかったらしく、ぴったりとはまった。

「……一生、大切にする」

死んだら棺桶に入れてもらう、と言って、彼女は左手を右手で握った。
ぐし、と人差し指で目元を拭う。
本音を言えば抱きつきたかったが、公衆の面前でそんなことをするつもりはない。

「いつ作ったんだ?」
「ま、秘密裏に。つい最近」

冷えてしまったエスプレッソは口の中を苦く苦く染める。
心の中は甘くて温かい気持ちでいっぱいだった。

「俺様も渡すものがある」
「渡すもの? 今か?」
「ホテルに戻り次第渡す」

宝石箱に一度指輪を戻し、フィアンマは改めて指輪を受け取った。
嬉し涙と笑顔を両立させたその表情が一番好きだと、トールは思う。


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