過去ログ - フィアンマ「助けてくれると嬉しいのだが」トール「あん?」
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977: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2014/05/06(火) 22:05:50.51 ID:2l3uVMit0

最初から、彼女は迷ってなんかいなかった。
彼女にとっての恋人は、『今を生きるトール』でしかない。
未来を生きたトールは、もはや彼女にとって別人に等しい存在だ。

わかっていた。

頭では理解していたが、都合の悪い事全てに見ないフリをした。

「……フィアンマ」

呼びかける。
雨の音でかき消されたのか、やはり、彼女は振り向かない。
意識しない内に、霊装を捨て、手を伸ばしていた。
彼女の細い首を絞め、この手で殺してしまうビジョンが脳内に浮かんだ。
雨水が目に入ったのか、じわじわと視界が滲んでいる。
息が苦しくて唇をきつくきつく噛み締めた。

「……、」

彼女が、振り向く。
その琥珀色の瞳は、潤んでいた。

「……トール」

そんなつもりは、到底無いだろう。
無いだろうけれど、糾弾しているように聞こえた。
どさ、とその場に膝をつく。身体に力が入らない。

「う、あああ、あああああああ…!!」
「………」



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