過去ログ - フィアンマ「助けてくれると嬉しいのだが」トール「あん?」
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◆2/3UkhVg4u1D
[saga]
2014/05/06(火) 22:05:50.51 ID:2l3uVMit0
最初から、彼女は迷ってなんかいなかった。
彼女にとっての恋人は、『今を生きるトール』でしかない。
未来を生きたトールは、もはや彼女にとって別人に等しい存在だ。
わかっていた。
頭では理解していたが、都合の悪い事全てに見ないフリをした。
「……フィアンマ」
呼びかける。
雨の音でかき消されたのか、やはり、彼女は振り向かない。
意識しない内に、霊装を捨て、手を伸ばしていた。
彼女の細い首を絞め、この手で殺してしまうビジョンが脳内に浮かんだ。
雨水が目に入ったのか、じわじわと視界が滲んでいる。
息が苦しくて唇をきつくきつく噛み締めた。
「……、」
彼女が、振り向く。
その琥珀色の瞳は、潤んでいた。
「……トール」
そんなつもりは、到底無いだろう。
無いだろうけれど、糾弾しているように聞こえた。
どさ、とその場に膝をつく。身体に力が入らない。
「う、あああ、あああああああ…!!」
「………」
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