過去ログ - フィアンマ「助けてくれると嬉しいのだが」トール「あん?」
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979: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2014/05/06(火) 22:08:27.17 ID:2l3uVMit0

「だからといって。……俺様は、お前を受け入れることは出来ない。
 俺様が愛しているのは、愛せるのは、お前じゃない。今現在を生きているトールただ一人だ」
「…………ああ」

はっきりとした拒絶に、安堵した。
そう言えるような女性だったから、自分はいつまでも愛し続けられた。

「もしも。……遠い何処かで、知らない何時かに出会って。
 またお互いを好きになったら、その時は。……その時は、また、愛して欲しい」

他者から見れば報われない人生だったけど、もう満足だ。

「……そんな事言われて、そんな顔されたら」

立ち上がる。
服に付着した埃を手で払って、深く息を吸い込んだ。

「本当、攫えなくなっちまうよ。……ここで、終わりだ」
「トー、」

声をかけられる前に、立ち止まってしまわぬように、転移術式を使う。
向かう場所は決まっていたし、やることも決まっていた。

もう、どこにも居場所はない。

別の世界を求めたところで、結果は変わりようがない。
最期に、彼女の笑顔をまた見られて、良かった。
嬉しかったと、そう言ってもらえたのだから、充分過ぎる。
彼女の望む通りの生き方は、やはり、どうやら選べそうにない。


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