過去ログ - フィアンマ「助けてくれると嬉しいのだが」トール「あん?」
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981: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2014/05/06(火) 22:09:47.05 ID:2l3uVMit0

「よお、オティヌスちゃん」
「…………わざわざ、私の所へ来るとはな」
「一度は完璧な神の座についた者同士、仲良くしようぜ。とはいっても」
「殺されに、来たんだろう?」
「よくわかってるな」

トールがやって来たのは、オティヌスの下だった。
一般市民の避難に協力した後、彼女はビルの屋上に立っていた。
雨は止み、雷だけがごろごろと燻る音が聞こえる。

「お前は以前の世界で、私を殺したのか」
「まあな。……フィアンマを、救ってくれなかったから」
「狂人め。………抵抗は?」
「しちまうかもしれないから、お前を選んだ」
「なるほど」

幾万の地獄を踏み越え、一つの世界を犠牲にした男は。
一人の少女の拒絶によって、死を選ぶ。

「……、…守るものを持つというのは、弱みを得るということか」
「必ずしもそうとは限らねえがよ。俺はアイツと出会って、別種の強みを手に入れられた」
「そうか」

得体の知れない力の塊が、彼の身を貫いた。
ビルの屋上に血液が広がり、穢していく。

「……この大戦で、…フィアンマの、存在は…ほとんど、わすれ、られる」

抵抗せんとする本能的な闘争本能を抑え込み、男は笑う。
口端から血液が溢れ、痛みが体中を締め付ける。

「危険な、やつは…排除、した。
 後は、……俺、自身が…何とか、する…はず、だ」
「………」
「ぐ、ぉ…ぼ、……げほっ、けほ…」

どさ、とうつ伏せに倒れ込んだコンクリートは、冷たい。
目を閉じ、麻痺してきた痛みに酩酊にも似た感覚を得る。

「いつ、か。…どこか、で」

また、会えたら。
今度こそ、彼女の手を離さないでいよう。

甘酸っぱい恋をして。
つまらない毎日を一緒に過ごして。

今度こそ、一生を添い遂げたい。

それ位は、願ってもゆるされるはずだ。


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