過去ログ - 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part10 -SS速報VIP

過去ログ - 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part10

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955:チキン野郎は今日も逃げる[sage saga]
2015/08/22(土) 19:23:48.43 ID:TGo8/put0
・第三話　口裂け女から逃げろ！

　昨日、ボクは非日常の世界に足を踏み入れた。
　まるで、映画のキャッチコピーみたいな言葉。でも、実際にボクは非日常に巻き込まれた。狂気の科学者【注射男】に襲われ、【人面犬】に危ないところを救われてた。それどころか、【人面犬】と謎の儀式すら交わした。結果、手に入れたのは都市伝説と呼ばれる情報生命体と関わる運命。明らかに普通じゃない。というか、今すぐ運命を捨て去りたい！
　【人面犬】のトバさんは、ボクの事を守ってくれるといったが不安は消えない。それどころか、一晩たち増してしまっていた。
　
「よし、食堂行こうぜ！！
「購買行こうっと」
「一緒にご飯食べない？」
「ジュース買ってくる」

　ボクの事情に関係なく、時間は平等に訪れる。
　昼休みの教室で、クラスメイト達は自由に行動を取っていた。

「……ボクもお昼食べよう」

　解決しない悩みを忘れ、バックに手を伸ばす。取り出すのは、お弁当袋と魔法瓶。いつものお昼セットだ。
　二段式のお弁当箱を広げ、中身が崩れていないかチェックする。
　片方はおにぎり、もう片方はおかずだ。幸い、どちらも朝に詰めたままだった。

「いただきます」

　結局、昨日の誓いは果たせなかった。都市伝説のことで頭がいっぱいで、誰かに話しかける余裕なんてとてもなかったからだ。
　なので、いつもと同じように一人で昼食を摂る。誰とも机を囲まず、一人っきりというのは寂しいけれど仕方がない。今は、もっと重要な問題が立ち塞がっている。
　重い気持ちを晴らすように、卵焼きに箸を伸ばす。

「うわー！　おいしそう！！」

　頭上からの声に驚く、箸を落としてしまいそうになった。
　見ると、ボクと同じくらいの身長の女子がお弁当箱を覗き込んでいた。どうやら、かなり興味津々のよう。キラキラした瞳で、おかずとおにぎりを凝視している。

「すごいね！　空井君のお弁当、おいしそう！！」
「あ、ありがとう」

　相手のテンションの高さに圧倒されてしまった。
　お弁当一つで、ここまで盛り上がれるなんてすごい。素直に感心してしまう。
　……ところで、彼女の名前は何だったけ？　クラスメイトだということしか分からない。

「これ、空井君のお母さんが作ったの？」

　疑問を抱えつつ、質問に答える。

「ううん、ボクが作ったよ」
「……え！？　本当に！？」
「う、うん」

　さらに、彼女のテンションが上がる。
　もう明るいというレベルじゃない。まるで、太陽だ。近くにいるだけで眩しい。

「ねえねえ！　この弁当、空井君が作ったんだって！」
「え、ちょ、ちょっと！？」

　しまいには、周りの女子に呼びかけ始めた。
　恥ずかしいので、止めようとしたけど時すでに遅し。机の周りを女子達が囲んでしまった。

「えー！　すごい！！　これ、全部自分で作ったの！？」
「おにぎりが俵型だ！」
「玉子焼きの中にチーズが入ってる！　おいしそう」
「これ、焼き鳥？　爪楊枝に鶏肉を刺してるんだ」
「このキャベツ、カレー粉で炒めたの？」
「色どりいい！」

　コメントの数々にあたふたする。主に恥ずかしさで！
　騒ぎは更に加速し始めた、遠くの席からも女子が歩いてくる。

「ねえねえ、何時に起きて作ったの？」
「いつも、自分で弁当を作ってるの？」
「もしかして、朝ごはんも？」
「女子力高っ！」

　盛り上がる女子と反面に、男子達は冷ややかな目をボクに向けていた。

「なんだ、あいつ。調子に乗りやがって」
「あんな顔して女好きかよ」
「狙ってやったろ、絶対」

　……男子達はボクを敵として見ている。
　好感度がゼロからマイナスになってしまった！

「ねー、ラインのＩＤ教えてよ」

　女友達は出来そうだからいいか、無理矢理に自分を励ました。……心の中で号泣しながら。

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