過去ログ - 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part10 -SS速報VIP

過去ログ - 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part10

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959:チキン野郎は今日も逃げる[sage saga]
2015/08/22(土) 19:37:42.18 ID:TGo8/put0
「おう、帰ったか」

　トバさんは、自宅のリビングにいた。
　呑気に、姉ちゃんが録画しておいたカンフー映画を見ている。

「……トバさん。昨日、都市伝説に襲われたら助けに来るって言ってたよね」

　拳を軽く握りながら尋ねた。

「ああ、言った」
「ボク、今まさに襲われてきたんだけど！？」
「知ってる」

　渾身の訴えは、涼しい顔で返された。
　流石に、ムッとする。

「気配がしたからな」
「じゃあ、なんで助けに来てくれなかったの！？　約束と違うよ！」
「必要だったら行く。必要だったらな」

　画面に視線を向けたまま、トバさんは答えた。

「必要だったらって、さっきはまさに必要だっ『お前は一人で生きて帰ってきた』そ、それは……」

　思わず、口ごもる。
　確かに、ボクは都市伝説と遭遇したのに無事に帰って来れた。揺るぎのない事実だ。

「使ったんだろう、能力を」
「……能力って、あの足が速くなったのが？」
「そうだ」

　トバさんは、やっとボクに視線を向けてくれた。

「俺達、人面犬は足が早いのが売りだからな。契約者も、脚力の強化を能力として得ることが多い。お前もその内の一人ってことだ」
「そういうことはもっと早く言ってよ！」
「こういうのは、自分で気づいたほうがいいんだよ」

　すまし顔をトバさんはした。
　
「お前の場合は、元々足が速かったせいか特に効果が大きい。そこらの野良都市伝説からは簡単に逃げられる。助けに行かなかったのはそれが理由だ」
「だから、事前に言ってよ！　そういう大事なことは！！」

　おかげで、心臓が飛び出そうになった。
　能力のことを知っていたら、もっと余裕を持った行動が出来たのに！　……多分。
　心の中で憤っていると、一つ疑問が浮かんだ。

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