過去ログ - 【安価SS】男「タイトルホルダー?」【異能力バトル】
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◆/4zOUBCFw.
[saga]
2014/02/09(日) 22:45:07.38 ID:9KTfVyfy0
初老の老人「時として無題というのは最も雄大なタイトルになりうる」
ギリシャ見物に俺は個展に来ていた。個展のタイトルは『題名のない作品展』。一つ一つの絵にご丁寧に『無題』と書かれているのだ。
絵はまちまちで、印象派のような絵、ルネッサンス期に描かれたような絵、中には水墨画のようなものまで存在する。しかし作者は同じようだ。
老人「それは『無題』というタイトルを目にした時鑑賞者が『自分ならどんなタイトルをつけるか』と考えるからだろうと私は思う。題をつける作業を面倒くさがって無題というタイトルにする訳じゃない」
老人「『無題』というタイトルの作品に遭遇した時、そこには絵に真剣に向き合う鑑賞者と、真剣に真意を伝えようとする芸術が存在するだろう。私はこの対話が好きだ」
正樹「僕もです」俺は絵から目を離さなかった。絵の中には産業革命期の蒸気機関車が走っていた。
正樹「ただ僕は、人間にも『無題』じゃなくてタイトルをつけたくなる時がある。でも他人がそれをやるのは野暮でしょう」
正樹「『無題』というタイトルの真意は作者か、作品しか知りようがない」老人に向きかえった。初老の紳士が頷いていた。
老人「君は私の好きなタイプの人間のようだ」微笑んだ「その絵が好きかね?」
正樹「ええ、乗り物は好きです。僕は日本で電車の車掌をしているんですよ。若いので地方に飛ばされましたが」
老人「日本!」愉快そうに笑う「私の娘は日本が大好きだ。この私の個展に来ているはずだが、生憎今は私とはぐれてしまっている。今度また会えたら日本の話をしてくれないかね?」
正樹「機会があれば」握手をして老人は離れた。近いうちに、と言った方が良かっただろうか。
10分ほどその絵を見ていた。背後から遅かったね、という声が聞こえた。
ペルシャ「どれだけ待ったと思っているの?」
正樹「さあ?でもこうしてまた会えた。それは嬉しくないか?」
俺は振り返った。嫌なわけないじゃない、言いつつペルシャが胸に飛び込んできた。
人間の一生にタイトルをつけるのはおこがましいだろうか。それはわからない、判断するのは俺じゃないだろう。
いつかつけてみようと思った。今までと今とこれから始まる、俺の一生にタイトルを。
TRUE END【無題の日々に題をつけて】
完
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