過去ログ - 【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第19位【アラフォーマーズ】
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906: ◆rVyvhOy5r192[saga]
2013/11/06(水) 21:30:07.62 ID:hyCgLuqUo

 彼女の地元だから、噂になりやしないかとか。

 それとも案外、田舎だからそういう話は早いのだろうかとか。

 穏乃を後ろに乗せて、自転車で坂を駆け上がりたいとか。

 色々なことを考えて、手を繋いだり放したり、人目を窺いながら道を進む。


「京太郎、そっち一口頂戴?」

「おう。じゃあ、そっちとも交換でなー」

「うん」


 咥えていたアイスを交換する。

 自分はソーダ味で、彼女は梨味。何かと入り用な学生の財布には、やさしいお値段の氷菓子だ。

 鼻歌を歌いながらステップを刻む少女の髪が、気分を刻む。

 調子が外れた鼻歌が、妙に可愛らしい。

 少女の身体の柔らかさを思い返す欲のある衝動より、彼女に対する愛おしさが勝る。


 こうして、ずっと一緒にいたい――。


 子供じみた想いかもしれないが、紛れもなく京太郎の本心だ。

 少女のことを考えると、胸が締め付けられるように切なくなって。

 それから、替えがたいほど熱くなるのだ。いつまでも、ただただ抱き締めていたくなる。


「どうしたの、京太郎?」

「いや、なんでもない」

「そう?」


 彼女の笑顔を見ていると、心のどこかが波立って、同じほど静かになる。

 息を漏らしながら、手のひらを傘に、空を見上げて息を漏らした。


 


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