過去ログ - 【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第19位【アラフォーマーズ】
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914: ◆rVyvhOy5r192[saga]
2013/11/06(水) 22:37:53.51 ID:g44TPN5zo

 新東名から、伊勢湾岸道へ。

 このあたりになると、マナーの悪い車が増えてきて、追い越し車線はその意味を為さない。

 なんとも、気疲れがする。

 不測の事態に備えた車間距離へと割り込んできた乗用車の上に飛び移って、

 運転席の硝子を叩き割り、運転手を車外に放り出してやりたい衝動にすら駆られる。

 勿論、やらないが。

 そんなことで殺人者の汚名を被りたくはないし、主を失った鉄の馬はどうなるのだ。

 乗り捨てられて平衡を失い、横倒しになって後続車に飲まれる愛車を想像し、

 いや、そんなのことをしてはなるものかと首を振る。


(お前と俺は、一緒だ)


 速度を出せないことに憤るような唸りをあげる愛車に語りかける。

 勿論、答えなど返る筈がない。相手は、機械だ。

 それでも良かった。動物と共にいるようなこの感覚。

 一人で飯屋に入って、ものを食っているときの雰囲気めいた穏やかな孤独感。

 京太郎は、それが好きだった。


 こいつは、聞いているかもしれないし聞いていないかもしれない。

 判ってくれているかもしれないし、そうでないかもしれない。

 だけどこいつは、走る。京太郎を乗せて動く。

 この瞬間は、確かに生きていた。京太郎が跨がっていれば、それに応えて起きている。

 まさに、鉄の馬だった。


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