2: ◆K8xLCj98/Y[saga]
2013/11/01(金) 23:28:22.72 ID:Q7052WfG0
沖縄を離れて、学校の友達やアクターズスクールのチームメイトとも連絡を取らなくなっていった。
連絡をとっていると、いつしか自分は故郷に依存してしまうと考えたから。
「美希ちゃん。今回のアイドルアルティメイトは、君のみに出場してもらうよ」
3: ◆K8xLCj98/Y[saga]
2013/11/01(金) 23:29:06.70 ID:Q7052WfG0
――社長室を出て、美希はマネージャーに連れて行かれる。
「……また明日なの。響、貴音」
4: ◆K8xLCj98/Y[saga]
2013/11/01(金) 23:29:52.07 ID:Q7052WfG0
駅に着けば、美希の化粧品ブランドの広告が大きく鎮座している。
電車に乗れば、貴音のサイダーの中吊りが揺れているのが見える。
街中を歩けば、自分の歌う曲が街頭ビジョンで大々的に放映されている。
5: ◆K8xLCj98/Y[saga]
2013/11/01(金) 23:30:25.76 ID:Q7052WfG0
とある事務所の無名アイドルにオーディションで負けたことがある。
のびのびと、笑顔で、とても楽しそうにアイドルをやっている姿を見て、自分は素直に羨ましいと思った。
――外は寒い。
6: ◆K8xLCj98/Y[saga]
2013/11/01(金) 23:31:09.42 ID:Q7052WfG0
彼女は売れていない。事務所の規模も段違い。それでも、見る度に楽しそうに活動している。
自分たちはどうだ。
美希は睡眠時間を削って、ドラマの台本に毎日目を通している。
7: ◆K8xLCj98/Y[saga]
2013/11/01(金) 23:31:38.72 ID:Q7052WfG0
「なんともないよ」と、笑ってみせる。
「……嘘はよくありません。心配をかけるような嘘であれば、余計にです」
8: ◆K8xLCj98/Y[saga]
2013/11/01(金) 23:32:17.51 ID:Q7052WfG0
ただ、手を握る力が、少しだけ強まった。
「3人で、アイドルアルティメイトに出るために頑張ったよね」
9: ◆K8xLCj98/Y[saga]
2013/11/01(金) 23:33:03.63 ID:Q7052WfG0
「……わたくしには、何故黒井殿が美希一人で出場するように言ったかは分かりません」
「……うん」
10: ◆K8xLCj98/Y[saga]
2013/11/01(金) 23:33:40.98 ID:Q7052WfG0
「……どうでしょうか」
貴音が俯いて、そしてすぐに顔を上げた。
11: ◆K8xLCj98/Y[saga]
2013/11/01(金) 23:34:20.77 ID:Q7052WfG0
美希を応援することで、フェアリーが出場する夢を諦められるのなら。
貴音はどうして、
「……どうして……涙が、止まらないのでしょう……」
12: ◆K8xLCj98/Y[saga]
2013/11/01(金) 23:35:01.57 ID:Q7052WfG0
でも。
「自分、すっごく出たかった」
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