56:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga ]
2013/11/04(月) 22:51:43.04 ID:80l1+C5ko
「え?」
「その、さっき強いて言うなら卵焼きが好きって言ってたから」
俺が驚いたのは卵焼きではなく
春香が今しようとしていることである
無自覚にやろうとしているのかもしれないが
これは男子が夢見るあーんというものではないか?
指摘するべきか、しないべきか
もちろん、するべきじゃない
「じゃぁ……いただきます」
「はい」
パクッと箸ごと咥えると
卵焼きのフワッとした生地が口の中で舌と口蓋によってサンドされ
何層にも束ねられた黄身と白身がその圧力に負けて少しずつ裂けていく
そこから漏れ出してくる絶妙な塩加減と、卵本来の僅かな甘味
そのまま溶けていくのを感じていたくもあるが、視界に広がる次を待つオカズたちを求めるあまり
溢れそうになるよだれを止めようと噛み締めてしまった
そのせいで長い味わいを得ることはできず
しかしながら、旨みはその砕け散る一瞬に凝縮され
思わず体を震わせてしまった
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