過去ログ - 【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第20位【アラフォーマーズ】
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◆rVyvhOy5r192
[saga]
2013/11/12(火) 22:48:11.51 ID:OqadhBx9o
(変な奴)
それに、腹が立つ奴だと鷺森灼は考える。
やたらと一言多くふてぶてしいあの――赤土晴絵の紹介でやってきた男――須賀京太郎。
無給で扱き使ってやってくれと、そんな言葉を受けはしたものの……やはり気に食わない。
恩師で憧れの女性である、他でもない赤土晴絵の頼みであるから放り出しはしないものの、それでもどうかと思う。
卒業したとはいっても、仮にも元教え子の家に男を連れてくるなんてのは、正直晴絵相手であっても眉を顰めざるを得ない。
頼みの祖母は、豆腐を買いにフランスまで出掛けている(彼女なりの諧謔だ)。
つまりはまあ、あの家によく知らんどこぞの男と二人っきり。
身の危険を覚えぬ筈がない。
そりゃあ、確かに成長期を過ぎたものの未だに起伏に乏しい体躯であり、男の劣情を刺激はしないだろうが、
それでも年頃の女の子であり――いやいや多少は成長してます、でも、同級生の松実玄と比べてしまうと悲しいよね、
だけど本来的にはまるで性的魅力に乏しくとも、二人っきりという状況でいざ相手に魔が差すとも限らない――なんて、
心配してしまうのは人情であり、刃傷沙汰になろうが貞操を守るのが優先であると、
鍵の付いた自室に念のための刃物を隠して幾星霜(冗談だが、最初の夜は正に朝までが無限に感じられた)。
……尤も。
今では、刃物は台所に戻してある。
一々料理の度に部屋に取りに戻るのが億劫なのだ。
無論、それだけではない。
(京太郎、ちゃんと店番できてる……?)
あの男は殆ど、世捨て人だ。
仕事上のミスは少ない。否、ないと言っても差し支えがないであろう。
だけどそこに丁寧さや情熱はなく、卒なくこなしているという印象しか受けない。
仕事は出来るが、気遣いという言葉とは無縁だ。
……実際灼に度々無礼な言葉を投げ掛けてきやがりますし。
それに何より、あいつは笑わない。
これは客商売としては致命的であろう。
自分に構うのをするんじゃねえよ、なんて不機嫌そうな仏頂面や、
如何にも自分は不幸で辛いんです傷付いてるんです、なんて沈痛な面持ちは晒さないが、
どことなく冷めている目の、アンニュイそうな顔を並べていた。
何が楽しくて生きているのか判らない。
楽しさを感じるのだろうか。そもそもあいつ、本当に生きているのだろうか。
死んだ魚の目とはよく言ったもので、全体的に覇気がない。生気もない。
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