過去ログ - 【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第20位【アラフォーマーズ】
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◆rVyvhOy5r192
[saga]
2013/11/13(水) 20:12:53.23 ID:78VOqCbao
一体、どちらが本当の京太郎なのだろうか――。
彼との付き合いの日は浅く、また、神ならぬ灼にそれを知るよしもない。
だけれども、不思議と思うのだ。
どちらもきっと、本当の須賀京太郎ではない――と。
普段のあの、空気の抜けた風船や糸の切れた凧めいた、意気や意気地を置いてきたという京太郎も、
今の、危険を感じつつも緊張は覚えず、どこか心待ちにしていたという様子の京太郎も、
その両方とも、恐らくは、ある意味では須賀京太郎ではありながら、本当の意味では須賀京太郎ではあるまい。
(馬鹿らし……)
なんで、こんな男のことを真剣に考えているのだろう。
灼の生活に紛れ込んだ異物。
異物というにはそれは、あまりにも自己主張をしないものではあるが――。
それが却って、気に障るのだ。
部屋の物をそのままに、配置をズラされてしまったような違和感が残る。
とにかく何か、しっくりこないのだ。こいつがいると。
だから、忌々しいとは言えずとも、少なくとも歓迎すべきものではない。
そんな男に、こうも思考を割いてしまっている自分に、多少ならず驚きを隠せない。
彼の顔を、見上げてみる。
黙っていれば、悪くない顔だと思う。
むしろ、今まで見てきた男の仲でも、かなり整っている方に分類されるだろう。
だけれども、普段のあの、骨を失って打ち上げられた魚ような態度は戴けない。
どれだけ見目が麗しくても、あれは駄目だ。マイナスだ。
かといって、今の顔がよいと言えばそうでもない。
薄ら笑い。
普段の京太郎に比べたら、えらく気力が充実している。さながら、獲物を見付けた大型肉食獣だ。
獰猛な、生気の充実した笑み――好戦的な笑い。
先ほどのごとき落ち着いた物言いは、普段のそれとは違って、見るものを勇気づけるだろう。
でもやはり、
(違う)
のである。
その笑いには、ある種の虚無的な愉快が含まれていた。
それこそ、どこか仮面めいている。
彼自身も気付いてはおらず、また、他方では紛れもなく本心なのであろうが……。
どことなく儚く、嘘っぽさを覚えた。
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