過去ログ - 【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第20位【アラフォーマーズ】
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◆rVyvhOy5r192
[saga]
2013/11/13(水) 20:51:16.94 ID:qQTMy5/yo
「……窓、空いてましたがそれだけっすね」
「でも、確かに音が……」
「灼さんのこと、疑ってなんていませんよ」
それは、事実だろう。
依然として彼の身体には気勢が充実し、静かに闇の中を睨み付けているのだから。
彼の身体は、鋼鉄の鞭だ。
鋼鉄で、ゴムがごとき弾力を持った鞭だ。野生の刀剣だ。
その瞬間となったなら、引き絞られた弦が如く勢いよく弾けて、しなやかな身体は獲物に躍りかかる。
そのさまが、容易く想像できた。
想像していたから、次に己の身に起きたことを、灼は暫し把握できなかった。
「えっ」
「静かに……今何か、動きました」
肩を掴まれて、彼の胸元に抱き寄せられていた。
反射的についてしまった手から、京太郎の鼓動が伝わってくる。
とくん、とくん。
緩やかに一定のリズムを刻むそれから、鼓動の度に熱が流れ込んでくる。
その筋肉はやはり力強さを秘めながらも、優しく灼の指先を受け入れて包み込んだ。
これが、彼にとっても自分を守りやすい姿勢なのだろうが……。
(ち、近……)
訳もなく赤面してしまう。
相手が京太郎だとしても、こうして異性の胸元に指先を埋めるというのは、
灼に羞恥を覚えさせるのには十分な行為で、何故だか自然と掌が丸まっていた。
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