過去ログ - 【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第20位【アラフォーマーズ】
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931: ◆rVyvhOy5r192[saga]
2013/11/13(水) 22:42:56.78 ID:zvSKXdRco

 だがまあ……。


 確かにこの猫の額の模様は、言われてみればどこか兜を被っている風ではある。

 なんのかんのと離れながらも、よく見ているではないか。

 可愛らしくもない名前だけれど、それが却って素っ頓狂で馬鹿馬鹿しく、猫の名前としては好い塩梅の気がした。

 変に気取った名前よりも、野良猫だった彼(彼女?)には丁度よい。

 名付け親を彼に渡してしまうのは、些か癪であるが……。

 今日、その程度の働きはしたであろうし、

 また何より、灼の中でその名前が実にしっくりと来てしまっていたので、仕様があるまい。


「カブト……お前の名前は、カブト」

「ちょっ、灼さん……!」

「文句があるなら、あっちのお兄ちゃんにどぞ……」


 にゃあと、また猫が鳴いた。

 灼は猫の言葉が判らないが、どうにもそのあとごろごろとあの不気味な音を立てるものだから、

 猫としても、その名前に異存はないのだろう。


(まずはお風呂で、綺麗にしよ?)


 野良猫だったのだから、蚤やら何やら沢山だろう。

 暴れてくれなければいいが……そうなったら、男手の京太郎に手伝わせよう。

 なんて思いながら――新しい家族を抱えて、ボウリング場を後にする。

 今度はしっかりと、窓も閉めて。


 こうして鷺森家に、新たな住人が誕生した。

 三人――二人と一匹の、奇妙な同居生活が始まったのだ。


 しかしその間も、殆ど京太郎はカブトに寄り付こうとしなかった。

 渋々と、カブトの寝床やトイレ砂を整え、皿を丁寧に掃除はしているものの、

 肝心のカブトに対しては――少なくとも灼の前では――つっけんどんに接していた。

 ともすれば、灼よりもカブトに懐かれているというのに……。

 足元に擦り寄ろうとするカブトを巧みに躱し、ドアの向こうに逃げてしまう。


 これでは、どちらが一体猫だと言うのだろうか――。




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