過去ログ - 野原しんのすけ(15)「ねえヘタレのオジさん、言葉のままに歪めてみれば〜?」
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956:>>1 ◆aMcAOX32KD1b[saga]
2014/08/15(金) 00:09:58.56 ID:xy/iBCuB0
「気をつけて!!上条さん!!」

「え?」

食蜂が上条に注意するよう呼びかけるが僅かに遅かった。
既に彼の指先はナタリーに触れていた。

ナタリーは

金縛りが解けるや否や

上条の手首を掴み取り

うつむけになる様に引き倒すと

肩甲骨の辺りに足を乗せ、身体を固定すると

彼の右腕を、肩からヒキチギッタ。

「キャアァァァァァァァァァ!?」

悲鳴が上がる。それは食蜂のものかインデックスのものであったが
しかし上条のものでは無かった。

「甚だ腹立たしいケド、逃げさせてもらうわ!!『コレ』さえあれば、どんな魔術結社が相手でも取引ができるモノ」

血の滴る、『幻想殺し』の宿った右腕を掲げてナタリーは言う。

「憤然、貴様!!」

「ふんっ」

ナタリーは横たわる上条を向かって来たアウレオルス目掛けて蹴り飛ばすと、出口に向かい走り出した。
彼女のすぐ後ろに居たしんのすけは既に上条を治しに行こうと動いていたために反応が遅れ、逃亡を許してしまう。

「野原さんコレ!!」

食蜂がリモコンをしんのすけに投げる。
大きく目標から逸れて飛んで行くリモコンに、しんのすけは放ったヨーヨーを巻き付け手元に引き寄せる。

「操祈ちゃんパス!!」

しんのすけはキャッチしたリモコンが手の中で一瞬光を発したのを確認すると、すぐに食蜂へと投げ返した。
食蜂はソレを額にぶつけ、涙目になりながらもすぐに拾い上げてナタリーに向けボタンを押す。

「……チッ」

ナタリーが出口一歩手前で足を止め、舌を打つ。

「良いのかしら?私にかまってて。その子、死んじゃうんじゃない?」

どうやら食蜂が止めたのは下半身のみらしく、上半身をひねり上条を指さすが、ナタリーの眼は驚きと恐怖で染まる。

「俺か?俺は平気さ」

上条当麻は立ち上がっていた。
その顔には薄く笑みを浮かべ、幽鬼の如くナタリーに一歩、また一歩と近づいていく。
その異様な雰囲気に、彼を心配する味方達も、誰も声をかける事もできずにいた。

「なあ、ナタリー・コーツバン……」

上条は、本当は平気などでは無かった。
今も意識を失いそうな激痛に襲われている。
だが彼は、『余裕』を『平然』を、『圧倒的強者』を演じ続ける。

「確かにお前は強かったし厄介な相手だったよ……」

幸いにして、今この場所はアウレオルスが『黄金錬成』を使える様に変えられた空間だ。
それが誤解であっても、無意識下の認識さえも、現実を歪め真実にしてしまう秘術。
アウレオルスが『上条当麻は右腕がちぎれても平気だ』と思いこめばその通りに成る。
アウレオルスが『ナタリーは上条当麻にはかなわない』と思いこめばその通りに成る。

「けど一つミスしてる」

左手の人差指を立て、彼は演技を続ける。
今、仲間達は『あそこまで追い詰められてもなお諦めなかった』ナタリーを、その強靭な精神力に畏怖していた。
ならばこそ、そのナタリーを恐怖させれば、アウレオルスの眼に上条当麻はそれ以上の存在に写るはず。


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