174:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2013/12/02(月) 00:53:03.50 ID:Gs7r4rJ90
「いやいや、親父さん。あんたが娘に痴漢してるの見てたよー」
武ちゃんが、可愛いらしく言った。
「なんだそれは。だから、証拠は」
私は、黒スーツには言ってないのに、しゃりしゃりと会話に入ってくる。
「……あの、話聞いてましたか? 根拠もなにも、ここに生きた証人がいますから」
私は佐藤を指で指す。そして、続ける。
「まあ、証拠があろうが証言があろうがどっちでもいいんです。これ以上、こいつに手を出さないで。触んないで、変態行為しないで、とりあえず近づかないで」
「み、宮下さ……もご」
「佐藤さん、ちょっと黙って」
武ちゃんが、佐藤の口を塞ぐ。
「ふざけるな! 冤罪もいい所だぞ! おい、佐藤、お前も何か言え!」
「君たち、悪ふざけは止めてくれないか。第一、君たちは見たというけれど、娘はどうなんだ。そうやって、口を塞いでちゃ分からない。娘にも何か言わせてあげてくれ」
武ちゃんは、佐藤の口から手を離した。
佐藤は、親父の方を見る。親父はゆっくりと近づいて、佐藤の手に触れた。
佐藤は少しびくりと肩を震わせる。その手を払いのけようとしたが、佐藤に視線で止められた。
彼女の手は震えていた。正確には親父の手も震えていた。
「お父さん、ごめんね……でも、こんな生活長続きしないよ」
「何を言っているんだい……お父さんが、お前に何をした」
「お母さんの代わりに……たくさん愛してくれた」
佐藤は、笑って親父の手を離した。佐藤の覚悟を見たような気がした。親父は目を見開いて唖然としていた。
裏切られた、いや置いていかれた。そんな表情をしていた。
「……いいのか、佐藤。お前、生活できなくなるぞ」
「あ……」
「俺たちの大事な商品だ」
私は、すぐそばにあった机を思いきり叩く。
「今、なんて言った」
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