8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2013/11/11(月) 00:07:36.61 ID:3fMmVyzW0
少しでも揺れれば、おっさんのたぶんカサカサの唇が、佐藤の首筋にくっつく勢いだった。
案の定、電車が揺れて―――私は思わずゲロりそうになった――男の唇が佐藤の首筋に当たったのを見た。
たぶん、こうやって注意していたから発見できた。佐藤の周りのやつは各々好き勝手にして、気づいちゃいない。
それから、よく見るとおっさんの両腕が上下に、不自然に動いている。
ここからは上半身しか見えない。
(なに……?)
「……ぁ」
電車が揺れ、また、佐藤の声が聞こえた。
私は耳がいい方だ。
親にも言われたことがある。
よく考えたら佐藤以外だれも声を漏らしちゃいない。
そもそも、満員電車でいくらか細いからと言ってもそんなに頻繁に声を出すだろうか。
佐藤が下を向いているせいで、横髪が邪魔して表情が分からない。
しょうがない。
「ちょ、ちょっとおっさん」
「ふー?」
「あの子の後ろの人、大丈夫? チカンじゃない?」
「……」
子豚のおっさんが佐藤を見る。おっさんの方が背が高いから、よく見えるだろう。
「ねえ、大丈夫だった?」
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