11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/11(月) 01:06:19.19 ID:Bw6Z329mo
冗談みたいなナチュラルボーン・ボッチな生活において唯一と言ってもいい話相手が佐々木春香だった。
彼女はいつも屋上のフェンスに背を向けて座り込み、イヤホンをつけて音楽を聴いている。
レンタルショップで買ったらしい安物のMP3プレイヤーを、結構長い間使い古している。
「どんなのを聴いてるの?」とためしに訊いてみたりすると、彼女は片側のイヤホンを俺に貸してくれる。
たぶん彼女は全部分かってるんだと思う。
俺が彼女のことを好きだということも。そういうことを分かったうえで、俺をからかってるんだと思う。
でもそれはそれで割と幸せなので、俺はちょっとした悔しさと気恥ずかしさを感じながらも、何も言えずにイヤホンを片耳に差し込む。
流れてくるのはだいたい、どこかで聴いたことがあるような洋楽だった。
「コットン・フィールズ」とか「デイドリーム・ビリーバー」とか「トップ・オブ・ザ・ワールド」とか。
おかげで俺は、彼女と一緒に音楽を聴いていると妙に寂しくて物悲しいような気持ちになった。
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