20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/11(月) 22:09:07.28 ID:Bw6Z329mo
◇
とにかく彼女は屋上をそれなりに愛している。
その愛し方というのはいささか偏っていた。
彼女は隣に座る俺よりも、むしろ屋上の方に親密さを感じているように見えた。
そういうことに気付くと俺はなんだかやってらんないような気がしてきて、拗ねたような気分になる。
彼女はそんな俺の変化をすぐに察して、小さな子供を見るような目で笑った。
昔からずっと、誰からも、家族にすら、「何を考えているのか分からない」とか言われてきたのに。
彼女はあっさりと俺の感情の揺れを看破する。
嬉しいようなこそばゆいような、そんな気持ちがそこにはあった。
でも、だからこそよりいっそうつらく感じることがあった。
だって俺には、彼女が何を考えているのかなんて、想像さえつかなかったのだから。
その時点で、彼女と俺とは釣り合っていなかった。
彼女が俺を理解することはあっても、俺が彼女を理解することなんて、ろくになかったのだ。
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