過去ログ - 【艦これ】五十鈴の調子が悪いようです【SS】
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2013/11/11(月) 21:28:30.47 ID:foU1KJOC0
「場所が分からないし、分かっても今はまだ、ね。私も、なんとか都合をつけて日に一度は必ず来るようにするから……」
「うー……」
文月は少しだけむずがったようであったが、
「うん、いいよ。あたしがまんするね」
「よし……」
少しだけ目尻に涙を浮かべながらそう答えた少女を、赤城は抱きしめてやらずにはいられなかった。どうにも保護欲をかきたてられる少女なのである。
「ピアイルック家に関しては、私の妖精に見張らせておきましょう。それなら、何かあってもすぐに対処できるはずです」
「青葉も、何かやりますか?」
「あなたは、文月ちゃんの親を探してみてください。特徴のある名前だし、すぐに分かると思うのだけど……」
「はい、任せておいてください!」
どんと胸を叩く青葉に対し、加賀はけげんな顔である。
「妙にやる気ですね。そういえば、泊地を出ていく時もやけに勢い込んでいましたが……?」
「ああ、それならこれを兵隊の皆さんに売ってた件を見逃すと言ってあげたんですよ」
そう言いながら赤城がひらりと見せたのは、一葉の写真であった。
「げえっ」
「青葉……あなたはまたこんなことを……お金に困ってるわけでもないでしょうに……」
「いやあ、これはその……なんというか……真実の姿を伝える使命といいますか……あ、ちょっと、痛い痛い痛い痛い」
「加賀さん、一応は約束してあげたわけだから、そのくらいにしてあげて、ね」
騒ぎ立てる年長者たちを尻目に、吹雪は赤城の手からこぼれ落ちた写真を拾い上げる。
「これは……」
思わず苦笑を漏らしてしまったのも、仕方のないことであっただろう。
非番の日に街へ出かけた姿を隠し撮りしたものなのだろう。写真の中では、加賀が暑さに思わずシャツの襟を伸ばし、手で風を仰ぎ入れていた。
そうなると当然ながら、普段はきちりとした着こなしで隙もない彼女の豊満な胸が、一部とはいえ見え隠れしてしまっているのである。
一週間の時が流れた。
残念ながら状況は一向に変わらず、何も分からない日々が続くのみである。
いや、分からない、ということが分かったというべきであろうか。
日頃から記者まがいの活動をしてはばからぬ青葉が精力的な聞き込みや調査をしてなお、文月という名の少女を娘に持つ家は見つからぬのである。
念のため、青葉は名字の方でも探りを入れているのだが、やはりこれも該当者が見つからない。
そうなると、
「これはもしや、あの子が嘘をついているのではないか……?」
という結論に至ってしまうのは自明の理であったが、これは軍務の合間を縫うようにして茶屋へ通い詰めている赤城が、
「あの子は、嘘を言っているように思えません」
と、断じていることである。
そして、赤城の観察眼に関して、トラック泊地の艦娘たちは絶対の信頼を置いているのだ。
となれば、あとは例のピアイルック家に何か動きが起こるのを待つしかないのであるが、赤城が二人ずつ交代で見張りにやっている艦載機妖精たちが伝えるところでは、あれ以来、ピアイルック家の人間は日に数人が春島へ繰り出し、文月の姿を探し求めるばかりで、他の動きがないのである。
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