過去ログ - 【艦これ】五十鈴の調子が悪いようです【SS】
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(SSL)
2013/11/11(月) 21:31:14.15 ID:foU1KJOC0
テープを早回しにしたかのような独特な言葉で訴える妖精に、青葉は冷静に返した。妖精と艦娘とは、このようにして意思の疎通をおこなうことが可能なのだ。
「ふむ……あの日本人は高遠さん、というみたいですね」
望遠レンズを通じて表札を見ながら青葉が言った。
「高遠……高遠……聞き覚えがありますよぉ、ふむふむ」
そう呟く青葉の口角が上がっていくのを、確かに吹雪は見届けていた。
「吹雪さん、これはちょっと面白くなってきましたよぉ」
(本当に嬉しそうだなあ……)
もっと、もっと、とねだる妖精におむすびのおかわりを与えながら、吹雪はそう思わずにはいられなかった。
当人は大戦時、従軍作家が乗り込んでいた重巡洋艦青葉から受け継いだ魂の影響だと言い張っているが、これは明らかに、本人の天性によるものなのである。
「外交官……ですか」
翌日、例の茶屋で文月に絵描きをさせて遊ばせながら、赤城と加賀は青葉の報告を聞いていた。吹雪がこの場にいないのは、定期の警備任務に出かけているためである。
「はい、なんでも先祖代々政府の高官を務めてきたという家柄で、入り婿である今の当主は本国の奥さんに頭が上がらないそうですよ」
「ふむ……」
赤城は青葉に、茶請けとして出されていたタピオカ粉のクッキーを勧める。タピオカの原料であるキャッサバはミクロネシアでさかんに栽培されており、これはこの地における一般的な菓子なのだ。
そして、自身もそれをぱくつきながら渡された資料に目を通していた赤城の目が、鋭く細められた。
中に挟まれていた数枚の写真を手に取り、それを文月の方に掲げる。
「文月ちゃん、これに見覚えはある?」
「うん、あたしのパパとおうちだよ」
「青葉、その高遠という男の家族構成は?」
間髪を入れず尋ねた加賀の問いかけに、青葉はむんと胸を張って見せた。
「もちろん、その辺りもぬかりはありません。主の名前は高遠陽一で、子供は娘が一人、ちょうど文月ちゃんと同じくらいの年頃みたいですよ。しかも、毎日こっそりと使用人が町へ出ては、娘を見かけなかったかと聞いて回っているそうです」
ただ、とその後に付け加えた。
「文月、という名前ではないようなのですが……」
「そんなはずが……やっぱり、この子が嘘を……?」
「いえ、それはないでしょうし、青葉ちゃんの調査も間違ってはいないでしょう」
いぶかしげになる二人をよそに、赤城は何やら得心の面持ちであった。
その目が注がれているのは、文月の描いている絵である。
幼子としては……という注釈こそつくものの、なかなか達者に描かれたそれは、どうやら海上を航海する船舶のようであった。
しかもその船舶には、明らかに戦闘用のものと分かる砲塔が描かれているのである。
「文月ちゃん……」
「なあに?」
「どうやら、明日にはおうちへ帰してあげられそうですよ」
「ほんと!?」
ぱあっと明りが灯ったような笑顔を見せる文月をよそに、赤城はといえば苦虫を噛み潰したような顔だったのである。
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