過去ログ - 【艦これ】五十鈴の調子が悪いようです【SS】
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(SSL)
2013/11/11(月) 21:31:46.54 ID:foU1KJOC0
ミクロネシアに関する様々な書籍や、日本の伝統文化などに関して記された書籍をみっしりと収められた本棚を並べ、窓際にはアンティーク調のデスクが置かれたそこは、いかにも外交官のそれにふさわしい書斎であるといえる。
長年使い込み、むしろ新品時よりも風格を備えるに至った愛用のデスクに納まりながら、しかし、高遠陽一は仕事に手がつけられる心境ではなかった。
その目が向かうのは、デスクの片隅に置かれた写真立てである。
写真に写されているのは、彼がこの世で最も愛する存在……自分の娘である。
「天使のような……」
と形容して差し支えのない、愛くるしい笑顔を浮かべるその姿を見ながら、彼は娘の名前を呟いた。
だが、呟かれたその名前は、文月ではない。
「なぜだ……? どうして、こんなことに……?」
ほんの情操教育のはずであった。いや、仕事のためとはいえ、長く国を空けて滅多に娘と会えぬことが、寂しく感じられたというのはもちろんある。
「だが、それで呼び寄せたあの子がこんなことになるとは、あんまりではないか……!」
他に誰一人として存在しない、書斎での呟きである。
その声を聞く者はおらず、すぐにまた静寂が舞い戻った。
だが、こん、こん、と扉を叩く音がその静寂を破った。
「旦那様、失礼します」
「入れ……」
扉を開けたのは、本国にいた頃から彼を助けてきた執事である。
「これは……?」
その執事から差し出されたものを見て、高遠の眉がひそめられた。
それは、一通の封筒であった。
なんの変哲もない事務用の品である。おかしな点があるとすれば、宛先も差出人の名も書かれていないことであろうか。
「いつの間にやら、ポストに入れられておりまして……」
「ふむ……」
これも職業病といえるのかもしれないが、高遠は律義にペーパーナイフでもって、封筒を切り裂いた。ただこれだけのことでも、今の彼には重労働のように感じられる。
中に入っていたのも、変哲ないコピー用紙であったが、しかしそこに書かれた文面を見て、高遠の疲労は吹き飛んでしまったのである。
そこに書かれていたものとは――。
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