過去ログ - 【艦これ】五十鈴の調子が悪いようです【SS】
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3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)
2013/11/11(月) 20:30:13.37 ID:foU1KJOC0
らを送り届ける母艦の運用に特化した施設とするならば、あまり大がかりなものとならないのはものの道理であった。
 結果として、口さがない者に横須賀鎮守府の外観を語らせればそれは、
「まるで学校のよう……」
 と、なるのである。
 そんな鎮守府の最奥、最も守りを厳重なものとしている場所に艦娘たちの寮が設けられていた。
 見た目は他に立ち並ぶ建物と大差ない代物だが、その中身は充実した保養施設となっており、内部には図書室、娯楽室、専用の美容師を揃えた理髪室などが用意されている。食堂や浴場といった、名前だけなら通常のそれと変わらぬ施設も、一般兵卒が使うものとは比べものにならぬ豪華さであった。
 この中でできないことといえば、それは買い物くらいなものであるが、それすらもネット通販を利用すれば大概のものは取りそろえられる。しかも、艦娘がそれらに料金を取られることは一切なかった。
 こんなことをしていては、一般海兵から不平不満も出そうなものであるが、各国が揃える最新鋭の軍艦ですら深海棲艦に手も足も出せず壊滅したことを考えると、身ひとつでこれを相手取る艦娘に対する待遇としては、
「安すぎるもの……」
 なのである。
 現在、この寮に存在する食堂を利用しているのは一人のみ。
 五十鈴である。
 少女の前に置かれているのは、飯と根深汁、そして漬けもののみであった。
「いただきます……」
 五十鈴はそれらに対して行儀良く手を合わせると、ゆっくりと箸を伸ばした。
「あらあら……、一体どうしたの?」
 と、その背中から声がかかり、箸の動きが止まった。
「……由良か、おどろいたじゃないか」
「おどろいたのはこっちよ。こんな時間に、しかもそんな食事だなんて、体の調子でも悪いの?」
「そういうわけではないのだが……」
(こうなるのが嫌だから、他の人間と時間をずらしたのだが……)
 つくづく、縁のある相手だと思う。
 長良型軽巡洋艦4番艦由良の名を受け継いだこの娘は、自分と同時期に艦娘として覚醒し、また、同じ長良型の艦娘ということで何かとまとめて扱われてきた。
 一番の戦友といってもよい間柄なのだが、今日ばかりは少々間が悪かったといえる。
「調子が悪くないのなら、もっとしっかり食べないとだめよ。今日は五十鈴ちゃんの好きな、ストロベリーのアイスだってあるんだから……」
 そう言いながら、由良はビュッフェ部分を指差す。
 深海棲艦の跳梁により貿易網が寸断され、我が国の食卓事情も幾分かつつましい今日この頃であるが、そこはさすが艦娘寮というべきか、種々雑多な料理がチェーフィングディッシュの上を賑わせている。
「いや……いいのだ、私はこれで」
「どうして?」
「私には、そのようなものを食べる資格がない」
「食べる資格って……何かの時代劇に出てきそうよ? そのお食事」
「私たちが、このような贅沢な暮しをさせてもらえているのは、艦娘であるからだ」
「そうね。正直、艤装に選ばれた時は怖かったものだけど、家族に仕送りもできるし、今では感謝しているわ」
「だから、私にはそのようなものを食べる資格がないのだ……」
「ええっと……」
 話が最初に戻ってしまい、由良は困惑して


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