過去ログ - 【艦これ】五十鈴の調子が悪いようです【SS】
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(SSL)
2013/11/11(月) 21:32:44.36 ID:foU1KJOC0
「本国へ確認を取りましたが、保管されている文月の艤装に妖精が宿った日付と渡航記録から考えると、文月ちゃんが目覚めたのはトラックへ訪れてからほどなく……というところでしょうか」
「ああ……」
ひとしきり泣いた後、高遠はうなだれるばかりであった。こうなってしまえば、後は赤城の推測が当たっていたのかどうか、確認を取るばかりである。
「覚醒する以前の名前も思い出せなくなっていたのは、幼い彼女の精神が艤装に宿ったそれと混ざり合い、安定していなかったからでしょう」
艦娘の中には、大戦時の情景を自分の目で見たかのように語る者も多い。艤装に宿る魂の影響を受け、精神が汚染されるからだと声高に語る学者もいるくらいである。
まだ未熟な文月の精神が飲み込まれかけたのもむべなるかな……というところであったが、今少し時間を置き、自らの艤装と接触させることで以前の記憶も取り戻していくであろう、というのが赤城の見解である。
と、いうのも、こうなったのは本国とトラック諸島……自らの艦娘と遠く距離を隔てられた艤装が強くそれを求めた結果である、と見ることができるからだ。何しろ、無意識のうちに文月が、かつての睦月型駆逐艦文月の絵を描いてしまうほどである。
「そして、覚醒した彼女の様子を見たあなたは……」
「そうだ。怖くなった……」
高遠は、再び苦悶に顔を歪め己の髪をかきむしった。
「貴様に分かるか……!? 愛する娘がある日突然、自分の名前すらも思い出せなくなった父親の苦しみが! そしてその娘を、戦いに送り出さねばならない悲しみが!」
「だから……」
「そうだ、だから私は考えた。あの子が失踪したことにして、どこかへ匿ってしまおうと。どこか、争いのない場所へ……」
「それで昔からの知り合いだったマウさんに頼み、今回の自演誘拐を決行した――足がつきやすくなると分かっていて、自分で文月ちゃんを送らなかったのは、自作自演とはいえ、娘が誘拐される様など見たくなかった、というところですか?」
「……そうだ。貴様さえ現れなければ、あの子を無事に保護することができた。分かっているのか!? お前がしたことで、あの子は命のやり取りをさせられることになるのだぞ!」
「……艦娘として目覚めた場合は、本人もしくは身近な者がその旨を届け出なければならない、子供でも知っていることです」
「法など知ったことか! 私には、あの子の幸せを守る義務があるのだ!」
そう告げた高遠の眼に、ぎらりとした光が宿った。見ればいつの間にか、その手は懐に差し入れられているではないか。
銃声が、周囲へ響き渡った。
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